本方針は、個別の研究に対する審査基準や罰則を定めるものではなく、会員が自らの研究を計画・実施・公表する際に、倫理的な配慮事項を自己点検するためのガイドラインです。
日本科学教育学会「研究倫理に関する基本方針」
令和7年11月22日制定
前文
日本科学教育学会は、科学についての教育及び科学的・工学的手法による教育に関する研究の進歩普及に資することを目的としています。本学会の会員は、科学教育研究が社会からの信頼の上に成り立っていることを深く自覚し、誠実かつ責任ある研究活動を推進するための指針として、本基本方針を定めます。
本基本方針は、会員の研究活動を倫理的な観点から支援し、研究者と研究への協力者の権利と尊厳を守り、自由で創造的な探究を促進するための指針です。
すべての会員が、この基本方針の精神を共有し、誠実な活動を推進することが期待されます。
方針1(社会に対する責任と貢献)
私たちは、自らの専門知識と技術を社会のために役立て、科学教育の発展を通じて公共の福祉に貢献します。研究の意義を社会に説明し、その成果を適切に公開・還元することで、社会からの信頼に応える責任を果たします。
方針2(人権の尊重と研究への協力者の保護)
私たちは、個人の尊厳と基本的人権を尊重し、いかなる差別や偏見も行いません。研究への協力者には、研究の目的、方法、予想されるリスク等を十分に説明し、自由な意思に基づく同意(インフォームド・コンセント)を得て研究を行います。また、プライバシーの保護と個人情報の適切な管理を徹底します。
方針3(研究の公正性の確保)
私たちは、研究の構想から成果の公表に至るすべての過程において、誠実かつ公正に行動します。データの捏造・改ざん・盗用等の不正行為を断じて行わず、他者の知的財産や功績を正当に評価し、尊重します。また、研究の客観性と再現性を担保するため、データを適切に記録・管理します。
方針4(安全への配慮と利益の均衡)
私たちは、研究への協力者の心身の安全と福祉を最優先に考え、研究によって生じうるあらゆる危害を避けるよう最大限の努力を払います。特に、実験や野外活動を伴う研究では、安全確保を徹底します。研究への協力が、協力者にとって過度な負担とならないよう、利益とリスクのバランスに慎重に配慮します。
方針5(専門家としての自律と相互啓発)
私たちは、科学教育の専門家として、常に自身の知識・能力の維持向上に努めます。研究の実施や成果の公表にあたっては、利益相反に注意を払い、専門家としての自律性を保ちます。また会員同士が相互に啓発しあい、学術コミュニティ全体の健全な発展に寄与します。
附則
本基本方針の改廃には理事会の承認を要する。
